メンテナンス不要は嘘!太陽光パネルの寿命と定期メンテナンスの必要性

メンテナンスフリーといわれる太陽光発電システム。しかし、実際には経年による劣化や環境などさまざまな変化が起きるため、きちんとメンテナンスを行わないと安定した発電の妨げとなります。そのため、寿命が長いといわれる太陽光発電システムといえども、定期的なメンテナンスが必要です。

太陽光の寿命はどれくらい?

「太陽光発電システムは初期投資に費用がかかるものの、メンテナンスがいらず結果的に安く済む」と営業をする業者がいます。確かに技術の進歩によって耐用年数は伸びましたが、太陽光の歴史はまだ浅く、具体的なデータがないのが現状です。そのため、業者の言葉を鵜呑みにせずきちんと見極めることが重要と言えます。

寿命に関しては今後の技術進歩にもよっても変わってきますが、20~30年程度という考え方が一般的です。しかし、パネルの種類や設置条件によっては劣化の進度が異なりますし、30年以上稼動している事例もあるので、一概には言えません。

太陽光のメンテナンスはなぜ必要?

太陽光発電でパネルや設備のメンテナンスが必要な理由は、これらの寿命を延ばすためです。メンテナンスにはある程度出費が必要ですが、安定した発電量を保つためには欠かせません。

業者によっては、無料で定期的な保守点検を行ってくれるところもあるので、設置前にこういったサービスを取り扱っているか、確認しておくと良いでしょう。

パネルや設備の不具合

太陽光発電システムで定期的なメンテナンスが必要となるのは、パネルやパワーコンディショナ、充電メーターなどの設備、そしてパネルを支える架台といった部分です。災害大国と言われる日本では、環境の変化によって状況が大きく変化することもあります。落雷や台風、雪などにさらされた結果として、パネルの寿命や耐久度が当初の予定よりも早く劣化する可能性も懸念されます。

たとえばパネルは、砂埃や強風による倒木などで汚れたり破損したりするケースがあります。破損の場合は交換が必要ですが、汚れについては保守点検で清掃作業を行ってくれるため、プロに任せるのが一番です。

設備の不具合としては、落雷の影響により破損したり、結束バンドの劣化によりケーブルが断線したりといったものが考えられます。施工時にボルトの締め忘れやゆるみがあった場合、部品が外れて落下する危険性も考えられ、思わぬトラブルにつながることもあるでしょう。こういった見落とし箇所を改めて確認し、事故を未然に防ぐためにも、定期的なメンテナンスが非常に重要と言えます。

動植物によって引き起こされる不具合

他にも、蜂や鳥の巣、鳥の糞といった動植物によって引き起こされる不具合も考えられます。

例えば、蜂の巣は成長すると発電量に影響を及ぼすだけでなく、人への被害も考えられます。鳥がパネルの下や隙間に巣を作ってしまうと、糞が付着しパネルの汚れも増加するでしょう。

空き地を活用して太陽光発電をしている場合には、雑草による被害も考えられます。「たかが雑草」と思って放っておくと、パネル自体に巻き付いて影を作ってしまったり、パネルを突き破ったりといった被害につながることも。こうなると当然、清掃作業にも時間がかかり発電効率は下がってしまいます。

太陽光のメンテナンス方法

では、具体的にどのようなメンテナンスが必要になるのか、確認してみましょう。

パネルやフレームなどの設備面

まず、太陽光パネルについては、ガラス面の汚れや破損、フレームの変形・傾きがないかなどをチェックします。外部に設置されているパネルは雨風の影響を受けやすいため、2017年4月に施行された改正FIT法では4年ごとの定期点検が望ましい(※1)とされています。パネルを支える架台にさびや傷、ネジのゆるみなどがあると、大きな事故につながりかねませんので、こちらも定期的な点検が必要です。定期メンテナンスは業者によって有償・無償と対応が異なるため、契約前にきちんと確認しておくことが重要と言えます。

パワーコンディショナーの不具合と交換時期

次にパワーコンディショナーについてですが、周囲に引火物がないか、異音や異常な過熱がないかなどを確認します。パワーコンディショナーは、太陽光パネルでの発電量を最大化したり、住宅用太陽光発電の場合はパネルで作られた直流電流を、家庭で使用できる交流電流に変換する機械を指しますが、太陽光発電システムで故障が多いのはこのパワーコンディショナーです。耐用年数は10年ほどといわれており、交換には住宅用太陽光発電で1回あたり20万円程度(※2)の費用がかかると言われていますが、今後の技術進歩によっては単価が安くなる可能性もあります。

※1、※2「平成29年度以降の調達価格などに関する意見について」より

売電メーターは10年に一度交換義務がある

また、忘れてはいけないのが売電メーターの交換です。売電メーターとは電力会社に売電した量を計測するために設けられているもので、必ず設置しなければなりません。こちらは10年に一度の交換が義務付けられていますが、電力会社によって所有者が異なります。たとえば東京電力の場合、売電メーターの所有者は電力会社ですが、費用負担は使用者とされています。

しかし九州電力では、電力量の計量等に使用するメーターなどは管理・検定有効期間内の取り換えについては電力会社が行います。現在は電力会社を自由に選べるようになったため、こういったところも事前に調べておくと、コスト削減につながるでしょう。

もしものときに柔軟な対応が可能な業者を選ぶことが大切

万が一、きちんとメンテナンスを行っているのに発電性能が落ちたり故障してしまったりする場合には、業者に相談してみましょう。メーカーによってはモジュール出力保証や発電量の監視オプションを設けているところもあるため、期間内にトラブルが起こった場合にも柔軟に対応してくれる可能性があります。

ただし、空き地を活用して太陽光発電の投資をしている場合、設置箇所が広く草刈やパネルの清掃などが難しいケースがあるでしょう。この場合には、有料オプションとして清掃・除草などを追加できる業者もあるので、設置前に無償での保証範囲や保守点検の有無とあわせて確認しておくのが大切です。

太陽光発電システムを長く利用するためにメンテナンスを

メンテナンスフリーといわれることの多い太陽光発電システムですが、きちんとメンテナンスをしなければ、発電量が低下するだけでなく、故障や事故など思わぬトラブルにつながります。そのためにも、20年先までしっかり保守点検を行ってくれる信頼できる業者を選び、最適な環境を整える必要があります。

参考サイト:

太陽光発電設備の設置をご検討されているお客様へ|東京電力

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。